


2020年頃から輸入車を中心に、リアバンパーにあったはずのものが無くなっています。
それはマフラーエンドです。
車を後ろから見たら必ずあった排気ガスの出口、マフラーエンドがなくなっています。
マフラーエンドの形状や大きさで車の性能が想像できるほど、車にとってマフラーエンドは必要なものだったはずです。
そして、マフラーエンドの代わりに採用されたものが、ダミーマフラーです。
フェイクマフラーとも呼ばれています。
つまり、マフラーエンドの形をした飾りのことです。
今回は、車の印象やキャラクターを左右するほど重要な存在だったマフラーエンドがダミーマフラー(フェイクマフラー)になった理由を考えてみたいと思います。
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ダミー(フェイク)マフラーが採用される理由とは?
ダミーマフラーが採用されている理由を考えましょう。
ここでは約20年間身を置いた元自動車営業マンの勘と経験をフルに活用して持論を展開していきます。
理由①デザイン優先
ダミー(フェイク)マフラーが採用されるようになった背景には、メーカーがデザイン優先になってきたことが考えられます。
車を後ろから見たときにマフラーが大きかったら「スポーティ」であったり、「速そう」といった印象を受ける人は多いと思います。
もちろん、私もその一人です。
メーカーのデザイナーも一台一台の性質に合ったマフラーエンドをデザインすることで、個性を演出していました。
しかし、私が営業マン時代にこんな声も多かったです。
そうなんです!小排気量エンジンが搭載される車の多くは、マフラーエンドが片側からの1本のみになっていました。
車好きからすると、マフラーエンドは左右から2本出ている方が速そうに見えるからその方が嬉しいはずです。
マフラーエンドが2本出しになっている車のほとんどは2.0ℓ以上のエンジンが搭載されています。
しかし、2010年頃から輸入車を中心にダウンサイジングターボエンジンが採用され始めました。
排気量は2.0ℓから1.8ℓになり、さらに1.5ℓ、そして今では1.0ℓモデルまで登場しています。
小排気量のエンジンに不必要な排気効率のマフラーを装着すると加速力が鈍るため、ほとんど車種のマフラーは1本出しになるのです。
そこでメーカーが考えたのがダミー(フェイク)マフラーだったのでしょう。
リアバンパーにダミー(フェイク)マフラーをデザインすることで、どんなに小排気量のエンジンだろうと関係なく2本出しマフラーのように見せることが出来るわけです。
さらに、ダミー(フェイク)マフラーにすることで、「ベースモデル」「売れ筋モデル」「スポーティモデル」を異なるデザインにすることで差別化も図ることが出来ます。
ダミー(フェイク)マフラーが採用された理由をデザインを優先したため考えると、確かに一理ある気がします。
理由②コストダウン
画像引用元:ANE
ダミー(フェイク)マフラーが採用されるようになった理由に、コストダウンが関係していると思います。
2000頃までは、ほとんどのメーカーで車種ごとに専用のシャシーを開発やエンジンを開発していました。
ところが、2010年頃からは、ドイツ車を中心に「スモールカー」「ミディアムカー」「ラージーカー」の区分ごとにプラットフォームを作って、あとは組み立てるだけというモジュール方式が採用されるようになりました。
モジュール方式により、車の開発はもとより、製造においても大幅にコストダウンすることに成功しています。
マフラーにも同じことが言えます。
車種ごとに異なるマフラーエンドをデザイン、そして製造するとそれだけコストが掛かります。
ダミー(フェイク)マフラーを採用することで、そもそも個別にマフラーエンドをデザインする必要がなくなります。
つまり、1つのマフラーでどんな車にでも採用することが出来るというわけです。
ダミー(フェイク)マフラーの採用は、年間に万枚台という車を製造するメーカーにとっては願ってもないコストダウンになったことでしょうね。
コストダウンされた費用は、貯金に回されています。というのは冗談ですが、より良いシステム開発のための原資に使われているはずです。
ダミー(フェイク)マフラーが採用されコストダウンしたことが、私たちへ安全な車という形で還元されていると思えば少しは納得できるかもしれません。
理由③電気自動車の存在
ダミー(フェイク)マフラーが採用されるようになった理由は、電気自動車の存在が大きいと思います。
2020年以降、世界中の自動車メーカーが目の色を変えて電気自動車の開発と発売に躍起になっています。
ほとんどの欧州メーカーは2025年というリミットを定め、出来るだけ早い電気自動車社会への移行を推し進めています。
実は、欧州メーカーの電気自動車への移行計画は2010年頃から進められていました。
つまり、欧州メーカーはガソリン車と電気自動車が混在する未来を見据えていたということです。
電気自動車はガソリン車のように排気ガスを発生しません。
よって、マフラーが存在しないため、車の後ろにはマフラーエンドも存在しないのです。
ということは、マフラーエンドがあるガソリン車に乗っていたら、一目でガソリン車って分かってしまうというわけです。
もし、ガソリン車を良しとしない社会になっていたら?
もし、ガソリン車が差別される社会になっていたら?
マフラーエンドがあることで、ガソリン車と指をさされて嫌な思いをするかもしれない・・・・とちょっとオーバーに考えましたが、可能性はゼロではありません!
2020年頃から新車にダミー(フェイク)マフラーが採用されるようになった理由の1つに、ガソリン車と電気自動車の見た目の違いをなくしたいという意図があると思います。
内燃機関(ガソリン車とディーゼル車)と電気自動車の両方にダミー(フェイク)マフラーが採用されれば見た目による偏見や劣等感は生まれにくいですからね。
2022年までに開発が進められている高性能電気自動車にもダミー(フェイク)マフラーが採用されています。
つまり、電気自動車のデザイナーも「大きいマフラーエンド=速い車」という印象は変わらないようです。
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ダミー(フェイク)マフラーってダサい?
多くの新型車に採用されているダミー(フェイク)マフラーについて「ダサい」という言葉を耳にします。
個人的な見解だと、ダサくはないと思いていますが、残念な気持ちがあります。
私も車好きとして、マフラーエンドが本物でないことは寂しいですね。
しかしながら、本物のマフラーがあったらあったで「見た目はカッコいいのにマフラーが小さい」とか、「マフラーが左右2本出しだったらなぁ」とか思ってしまいます。
それならいっそのこと、「マフラー見えんくしたらええやん!」って思います。
排気量の問題で左右2本出し出来ないモデルはダミーマフラーを採用して、そもそも2本出し出来るモデルは本物のマフラーが理想ですよね。
ダミー(フェイク)マフラー自体よりも、リアバンパーに大型のマフラーエンドが採用されていて、奥の方でバカみたいに小さい本物マフラー見えていた方がダサくないですか?
もちろん、ダミー(フェイク)をダサいと思うかどうかはあなたの自由です。
ただ、ダミー(フェイク)マフラーの理由を少しだけ考えたら、少しは納得するかもしれませんよ。
最後まで読んでいただきありがとうございました。