「ライドシェアサービス」って何?日本解禁で考えられるメリットとデメリット(問題点)は?

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ライドシェアのメリットとデメリット

2023年11月20日、「ライドシェアリング(以下:ライドシェア)サービス」の日本導入に関して、岸田首相が「年内をメドに方向性を見出し、速やかに実行したい」と発言したことから再び脚光を浴びています。

これから議論されることなる「ライドシェアサービス」」ですが、日本導入が見送られていた経緯がありました。

「Uber」が2015年に日本進出の際に、海外で人気を博していた「ライドシェアサービス」」の日本展開もありましたが、タクシー業界の反対や法律の改定など様々な要因があり進展がありませんでした。

そんな「ライドシェアサービス」が法令緩和により日本で解禁される可能性が高まっています。

今回は、「ライドシェアサービス」とは何か?また「ライドシェアサービス」が日本で解禁されることで考えられるメリットとデメリットを考察してみました。※元自動車営業マンの知識と経験則による個人的な見解です。

目次

「ライドシェア」って何?

そもそも「ライドシェア」とは何かですが、「Wikipedia」によると以下の通りです。

ライドシェアリング(英語:Ridesharing)とは、ウェブサイトやモバイルアプリを介し、専用の貸切車両を運転する運転手と乗客をマッチングさせるサービスとなり、タクシーとは異なり、路上から合法的に呼び止めることが出来ない車両である。ライドシェアリングカンパニー、交通ネットワーク会社、ライドヘイリングサービスとも称され、専用の車両はアプリタクシー、eタクシーの名で知られており、日本では「ライドシェア」の名称で知られる

ライドシェア

なにやらちょっと難しい説明になっていますが、「ライド(乗り物に乗ること)」と「シェア(共有、分配)」なので「ライドシェア」とは「相乗りサービス」のことです。

あなたも友達や知人と同じ目的に行く場合に、それぞれが自分の車で現地集合するのではなく、誰かの1台の車にみんな「相乗り」して行った経験が1度はあると思います。

例えば、あなたが休日に自分の車(5人乗りの小型車)で観光地に遊びに行くときに、同じ日時に同じ目的地に行きたい人(最大4人)を一緒に乗せていくことが「ライドシェア」です。

「ライドシェア」には、1人でガソリン代と(遠方なら)高速代を払って目的に行くよりも、「相乗り」してみんなで割り勘した方が1人当たりのコストは安くできるというメリットもあります。

「ライドシェア」はまさにその発想です。

その「ライドシェア」を「有償」にすることで「ドライバー(提供者)」も「同乗者(利用者)」もタクシーよりも安く目的に行くことが出来るわけです。

では、「ライドシェア」に関してなぜ日本政府が議論する必要があるのかというと、その「ライドシェアサービス」が「有償(金銭的な利益行為)」であるからに他ありません。

日本では第2種運転免許(第二種免許は公道を使い営利目的で旅客を運送するために必要となる運転免許)の取得者以外が有償で顧客輸送することが禁止されています。

つまり、「ライドシェア」を営利目的で運営することは無許可営業のタクシー(通称:白タク)と同じ行為になり、行政による厳しい規制の対象となるのです。

「ライドシェア」を提供するドライバーは当然ながら、普通免許証しか所有していない一般ドライバーであり、車両も自家用自動車となります。

道路運送法78条では、原則として自家用自動車を有償で運送の用に供してはならないとしているので、日本政府がどこまで緩和するのかに注目が集まっています。

ちなみに、「割り勘」はドライバー(提供者)が金銭的な利益を得ていないので、法的にも何の問題もありませんので安心してくださいね。

日本政府が議論する「ライドシェア」の解禁は、今後の顧客輸送を大きく左右することになります。

「ライドシェア」の解禁を議論する理由は?

日本政府が「ライドシェアサービス」を解禁、もしくは、緩和する動きを見せた要因は、タクシー業界の深刻な人手不足にあります。

タクシー業界の深刻な人手不足の要因には、タクシー業界のネガティブイメージによる就職者不足と訪日外国人の増加、そして、高齢者による免許証返納による利用急増が挙げられます。

大都市圏や有名観光地では「空車」となっているタクシーを見かけることがないほど不足している現状があります。

そのような背景を受けて日本政府が一般ドライバーによる「ライドシェアサービス」の日本導入に向けて本格的に議論する運びとなった経緯があります。

「ライドシェアサービス」が解禁になれば、タクシー待ちがなくなり、予定通りに目的地に向かうことが出来るのではないかと期待されています。

とはいえ、タクシーの運転手は無事故無違反のプロドライバーであり、車両も顧客を乗車させることを前提に設計された顧客運送用の専用車両です。

対して、「ライドシェアサービス」のドライバーは一般ドライバーであり、車両も自家用車両となります。

「ライドシェアサービス」の日本での合法化にあたり、様々な問題点が浮上すると思われます。

「ライドシェアサービス」のメリット

日本で「ライドシェアサービス」が解禁されたら考えられるメリットを「ドライバー(提供者)」と「同乗者(利用者)」のそれぞれの視点で考えてみます。

ドライバー(提供者)のメリット①収益化

ドライバー(提供者)の最大のメリットは収益化に他ありません。

普通免許証を所有し、車を使用できる人であれば誰でもお金を生む仕組みが出来るということは、とても素晴らしいことですよね。

あなた1人で向かうはずだった目的地に同乗者を集うことで収益を得れるのであれば、ぜひ1度は試してみたいものです。

同じ目的地に向かう者同士なので、車内では会話が弾むかもしれません。

ドライバー(提供者)のメリット②空き時間の有効活用

ドライバー(提供者)のメリットに空き時間の有効活用が考えられます。

例えば、午後からの予定がないのであれば、有名な観光地までの「ライドシェアサービス」を行うことで時間をお金に換えることが可能になります。

特にドライブが好きな人には面白い活用法かもしれませんね。

暇だからといってあてもなく車でブラブラするより、効率的な車と時間の使い方が出来ると思います。

ドライバー(提供者)のメリット③人脈の開拓

ドライバー(提供者)のメリットの1つとして人脈の開拓が考えられます。

日本で「ライドシェアサービス」が解禁されれば、「ライドシェアサービス」のアプリで集客することになると思います。

そうなれば、あなたの知らない人(達)との出会いが待っていることになるでしょう。

あなたがレントリーしている「ライドシェアサービス」には、言い方は悪いですが「ろくでもない人」から「仏様のような人徳の厚い人」まで、幅広い人々からのオファーがあることでしょう。

それだけ多くの同乗者(利用者)と会うことによって、「恋愛」でも「仕事」でも運命的な出会いを果たすことがあるかもしれません。

収益のためではなく、あなたを理解してくれる存在を探すという意味でも、「ライドシェアサービス」はあたなの「人脈の開拓」には有効かもしれませんね。

同乗者(利用者)のメリット①タクシー料金よりも安価

同乗者(利用者)が「ライドシェアサービス」を利用する最大のメリットは、タクシー料金よりも安価に利用できる点です。

日本での「ライドシェアサービス」は本格的に始まっていませんが、すでに導入している国ではタクシーの利用料金よりも2~3割安い料金設定になっているようです。

おそらく日本に「ライドシェアサービス」が導入されても、タクシー料金よりも安価に設定される可能性が高いと思います。

なぜなら、「ライドシェアサービス」がタクシー料金よりも安くなければ、わざわざ一般ドライバーの車に乗る必要ありませんからね。

もしかすると、タクシーよりも安価に移動する手段として日本でも定着するかもしれません。

「ライドシェアサービス」のデメリット(問題点)

「ライドシェアサービス」が解禁されたら考えられるのデメリット(問題点)について考えました。

ドライバー(提供者)のデメリット①自動車険料の増額

ドライバー(提供者)が「ライドシェアサービス」に登録する条件を満たすために、任意の自動車保険料金が増額する可能性があります。

個人で加入する任意保険(自動車保険)は「使用目的」によって保険料金が異なります。

「使用目的」は一般的に「日常・レジャー」「通勤・通学」「業務使用」の順で保険料が高くなります。

「日常・レジャー」は、主に休日の使用、もしくは、1カ月に通勤・通学で使用する頻度が15日以内を指します。

「通勤・通学」は、休日の使用以外に1カ月に通勤・通学で15日以上使用する頻度と定義されています。

そして「業務使用」は、休日、通勤・通学に加え、仕事(営業や仕入れ、振込業務など)で車を使用する場合に選択するものとなります。

「ライドシェアサービス」では、使用している車両で仕事をしていることになるので、自動車保険の「使用目的」を最も割高となる「業務使用」にしなければならない可能性があります。

筆者の経験を加えると、「ライドシェアサービス」に参加するユーザーには「人身傷害」の金額も指定される可能性があります。

「人身傷害」は契約車両の乗車中の人が事故によって死傷した場合に過失に関係なく支払われる保険金のことです。

一般的な自動車保険の「人身傷害」は最低3000万円で設定されますが、「5000万円」「1億円」「無制限」という設定も可能です。

もちろん「人身傷害」の価格によって保険料に違いはありますが、最高の「無制限」にしても年間の保険料は1~2000円程度高くなる程度です。

人を運搬するということもあり、自動車保険の「人身傷害」を「無制限」にすることを条件にする可能性があります。

とにかく「ライドシェアサービス」に参加することで加入しなければならない自動車保険料の増加の可能性があることは間違いないと思います。

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ドライバー(提供者)のデメリット②損害トラブル

「ライドシェアサービス」を利用して不特定多数の同乗者を乗せることで、あなたの愛車の内外に身に覚えのない傷等が付いてしまう可能性があります。

あたなが「ライドシェアサービス」で乗せる人(達)は、あくまでも赤の他人です。

乗り降りに際して、全員があなたの愛車を大切に扱ってくれるとは限りません。

パーキングエリアでの休憩でドアを開けた際に、隣の車や壁にドアを当ててしまったり、今回の同乗者(利用者)を乗せるまでは無かった(確認できなかった)傷が車の内外に確認されたらあなたはどうしますか?

「しょうがない」と泣き寝入りしますか?

それとも「損害を賠償しろ」と訴えますか?

同乗者(利用者)が損害を素直に認めれば問題ありませんが、認めなければトラブルになりかねません。

「ライドシェアサービス」の仲介会社がどの程度介入できるのか不明ですが、損害に関するトラブルは覚悟しておいた方が良いでしょう。

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ドライバー(提供者)のデメリット③同乗者を選べない?

「ライドシェアサービス」の解禁で考えられるドライバー(提供者)デメリットは、同乗者(利用者)を選べないことかもしれません。

「ライドシェアサービス」を提供するアプリにもよると思いますが、基本的にドライバー(提供者)は大手フリマアプリのように利用後に最高5★で評価されるシステムになるでしょう。

となれば、利用者からすれば安心のシステムですが、ドライバー(提供者)は利用者の評価を知るすべがない可能性があります。

いざ同乗したら、態度や言葉遣いがあなたの気に障る可能性がありますよね。

そうなれば、楽しい「ライドシェア」なんて言ってられません。

しかも、同乗者(利用者)はあなたに対価(料金)を払っているので、「お客様」と思っている可能性があります。

毎回とは言いませんが、「ライドシェアサービス」を行っている内に「ろくでもない人(達)」に出くわすリスクがあると思います。

同乗者(利用者)のデメリット①損害トラブル

「ライドシェアサービス」を利用してたことで、身に覚えのない傷等が付いたから弁償しろと言われてしまう可能性があります。

もちろんあなたはそんな傷を付けた覚えはないので、断ろうとするでしょう。

しかし、ドライバーはあなたが乗るまで傷は無かったと詰め寄り、トラブルへと発展しかねません。

同乗者(利用者)は車両に乗り込む前にドア回りや室内の写真をスマホで撮るなどして、トラブルを回避する必要があるかもしれません。

「ライドシェア」は慎重にするべき

日本でも導入される可能性が出てきた「ライドシェアサービス」ですが、もし解禁されたとしても利用は慎重に行うべきだと考えます。

すでに「ライドシェアサービス」を導入している国では若者を中心に利用されている一方で、安全性の問題も浮き彫りになっています。

また、アメリカではタクシー会社が「ライドシェアサービス」を提供する会社に対して提訴するなどの問題も起こっているようです。

「ライドシェアサービス」の導入はこれから議論されますが、ぜひ提供者も利用者も安心して利用できる仕組みを作ってもらいたいと思います。

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この記事を書いた人

クルマ好きが高じて自動車業界に就職。国産ディーラーと高級輸入車ディーラーの営業マンとして15年以上従事し、合計1000台以上の新車・中古車の販売に携わりました。クルマが大好きな自動車営業マンが大好きな自動車に関するのお役立ち情報や最新モデルの情報を独自の観点から発信しています。

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