ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が止まりません。
その影響を受けて、欧州の自動車メーカーでは工場の一時停止が余儀なくされています。
軍事侵攻を受けているウクライナの西部にある電気ケーブルハーネスを製造工場が稼働できないことが要因の一つですが、他にも深刻な問題が浮き彫りになってきました。
今回は、ロシアによるウクライナの軍事侵攻によって懸念されている深刻な半導体と排ガス用触媒不足により、自動車の製造ができなくなる可能性について紹介します。
自動車が製造できなくなる要因①ネオンガス不足による半導体不足
自動車が製造できなくなる要因の一つにネオンガスの不足による半導体不足が挙げられます。
半導体には精密な電子回路やチップが装着されており、その製造にはレーザーが欠かせません。
しかし、そのレーザー加工を実行するために必要なネオンガスが手に入らなくなる可能性があります。
実は、世界に産出されているネオンガスの70%はウクライナが供給元なのです。
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻により、レーザー加工に必要なネオンガスが手に入らなくなれば半導体は製造することはできません。
大手半導体メーカーでは、数か月分のネオンガスを貯蓄していると思われるので、急に半導体が製造できなくなることはないでしょう。
そしてもっと質が悪いのが、ウクライナのネオンガスはロシアでの鉄鋼製造の副産物として生産されているのです。
つまり、ウクライナのネオンガス生産はロシアに依存しているという複雑な問題に直面します。
ロシアによる軍事侵攻の長期化でもネオンガスは不足するし、停戦しても両国の関係が好転しない限りネオンガスは不足すると思われます。
2019年後半に起きたコロナウィルスのパンデミックにより、2022年現在もすでに半導体不足によって自動車製造は遅延している状況です。
そこに拍車をかけるようにネオンガスの供給が断たれたら、半導体不足はもっと深刻化することは必至です。
自動車の製造だけではなく、家電やコンピューターにまで影響を及ぼすことは容易に想像できます。
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自動車が製造できなくなる要因②パラジウム不足による排ガス用の触媒不足
画像引用元:carscoops
自動車が製造できなくなる要因の一つにパラジウム不足による排ガス用の触媒不足が挙げられます。
自動車の排気ガスの浄化装置として採用されている触媒には、パラジウムを活性炭に担持させたパラジウム炭素が用意られています。
つまり、パラジウムがなければ排ガス用の触媒の製造が滞ってしまうわけです。
ロシアは世界有数のパラジウム生産国で、世界に流通する1/3はロシアによって供給されています。
ロシアへの経済制裁が強まれば、ロシアとしてもパラジウムの供給を制限すると予想されます。
パラジウムが手に入らなくなるば、排ガス用の触媒の製造も出来なくなります。
さらに、ロシアがパラジウムを特定の国にしか供給し無くなれば、パラジウムの価格の高騰は必至です。
いずれにせよ、自動車の排ガス用の触媒の製造に多大な影響を与えることは想像に難くないでしょう。
自動車の排ガス用の触媒の製造が難しいのであれば、早めに電気自動車へシフトすれば良いという意見もあると思います。
しかし、電気自動車の製造を増加させたくても、電気ケーブルハーネスの不足も深刻化しています。
自動車を製造したくても排ガス用の触媒が作れないし、電気自動車を製造したくても電気ケーブルハーネスが無いから生産の増加も難しい。
世界の自動車メーカーは戦々恐々としていることでしょう。
自動車が製造できなくなれば、私たちの生活にも大きな影響と混乱をもたらす結果になります。
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻は世界に多大な影響を与えています。
一刻も早い停戦と共和を願います。
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ソース:carscoops