世界一安全と言われている日本で車両の盗難が問題となっています。
もちろん、鍵のかけ忘れなどというオーナーによる過失ではありません。
施錠され盗まれるはずのない車が忽然と姿を消す事案が多発しています。
車があったはずのところに車がないわけですから、きっとパニックなると思います。
今回は、狙われやすい車種をはじめ、巧妙化する車両盗難の手口と対策法を紹介します。
【車両盗難】狙われやすい車種は何?
狙われやすい車種は何でしょうか?
実際に車両盗難の被害にあっている車種を紹介します。
2021年版 | ||
順位 | 車名(車種) | 件数 |
1 | ランドクルーザー | 331 |
2 | プリウス | 266 |
3 | レクサスLX | 156 |
4 | アルファード | 138 |
5 | クラウン | 81 |
6 | ハイエース | 78 |
7 | レクサスRX | 58 |
8 | ヴェルファイア | 41 |
9 | レクサスLS | 36 |
ハリアー | 36 |
日本損害保険協会が公表した2021年1月1日~12月31日までに車両盗難により保険金が支払われた車種のランキングです。
あなたはもうお気付きですよね?
盗難ランキングの全ての車種がトヨタ自動車グループの車になっています。
特にランドクルーザー(プラド含む)とプリウスに関しては3年連続のトップ入りとなっています。
2019年には8位だったレクサスの高級SUVである「LX」は3位にまで順位が上がっています。
「ランドクルーザー」「プリウス」「レクサスLX」は日本のみならず、海外でも高い人気を誇っているモデルです。
よって、これらの盗難された車は海外の闇マーケットへと流れるのでほとんど発見されることはないでしょう。
もしあなたがランキングに入っている車に乗っているのであれば、特に車両盗難には注意してください。
ちなみに、車両盗難がもっと多い場所は「自宅の駐車場」です。
当然ながら、家に帰ってくれば車はいつもの駐車場に停めることになるので犯人も狙う車が絞りやすいというわけです。
特に自宅から離れたところに車を駐車しているのであれば、何かしら対策を講じた方が良いと思います。
車両盗難の手口とは?
車両盗難の手口を紹介します。
前提として、車両盗難を行っているのは面白半分で車を盗んでいるバカとは違います。
奴らは車両盗難を生業としている犯罪のプロ集団です。
①リレーアタック
リレーアタックとは、便利であるはずのスマートキーの特徴を悪用した盗難方法です。
スマートキーから出ている電波を特殊なアンテナで受信・増幅させて車のカギを開けてエンジンをかけるという手口になります。
アンテナとレシーバーを中継するのでリレーアタックと呼ばれています。
リレーアタックの詳細は別記事にまとめてありますので参考にして下さい。
リレーアタックによる車の盗難が多発!リレーアタックの仕組みと対策方法は?
②コードグラバー
コードグラバーとは、スマートキーが持つ「IDコード」をコピーして車両盗難を行う手法です。
そもそもコードグラバーはスマートキーのスペアを作る機械として発売されたのですが、その機能を車両盗難という犯罪に悪用した手口になります。
つまり、スマートキーが発している「IDコード」を読み取ることで、全く同じ「IDコード」を持つスペアキーを作っているわけです。
当然ですが、車はオーナーと同じ「IDコード」を受信するので、解錠もエンジン始動も問題なくできます。
盗難防止装置である「イモビライザー」もまったく意味をなしません。
さらに質が悪いのは、コードグラバーの受信範囲が100m、高性能なものになると500mもあることです。
スマートキーを裸で持っていたら簡単に「IDコード」をコピーされてしまいます。
③CANインベーダー
最も新しい盗難の手口は、CANインベーダーです。
CANインベーダーは、CAN(Controller Area Network)を経由して、車両の解錠とエンジン始動を行う方法です。
CANインベーダーが、スマートキーシステムを逆手に取った「リレーアタック」と「コードグラバー」と大きく違うのは、スマートキーは関係ないということです。
CANインベーダーの手口は以下の通りです。
①フロントタイヤ付近からフロントバンパーを開ける
②エンジンルーム内にあるECU配線にCANインベーダーを接続する
③信号を送り車両を解錠する
④信号を送り車両のエンジンを始動する
⑤逃げる
一見難しそうですが、車両盗難のプロからすると造作もない事と思います。
実際にCANインベーダーの被害にあった車両は5分もしない内に盗難されています。
スマートキーが必要なリレーアタックとコードグラバーと違い、車を見つけたら即実行できるところが非常に質が悪いです。
CANインベーダーがある限り、スマートキーの電波対策は無意味になります。
車両盗難への対策法とは?
車両盗難への対策法を紹介します。
CANインベーダーというチート手法がある限り、どれだけスマートキーの電波を遮っても無意味です。
車両盗難には物理的な予防対策が必要と考えます。
社外セキュリティー
CANインベーダーを含める車両盗難に最も有効的な予防対策は、社外セキュリティーの導入です。
社外セキュリティーとは、車への振動や不正なドアの解錠などがあった際に警報を鳴らす装置のことです。
セキュリティーアラームが標準装備されているモデルもありますが、リレーアタックをはじめ、CANインベーダーにはまったく意味がありません。
なぜなら、車はオーナーのスマートキーと勘違いして解錠しているので警報を鳴らすことはありません
一方、社外セキュリティーは専用のリモコンで解除操作をしない限り、ドアを開けると盛大に発報します。
高価な社外セキュリティーになると、車のいたるところに人感センサーを張り巡らせているので、人が車に近づくだけで「車から離れてください」という警告を発するものもあります。
さらに社外セキュリティーを装着すると、これ見よがしに光る警告ランプが装備されるので車両盗難の抑止力にもなります。
社外セキュリティーは年々巧妙化する盗難の手口に対抗できる有効な手段ですが、その分金額が張ります。
社外セキュリティー本体だけでも10万円前後、高いものになると30万円前後するものもあります。
さらに、社外セキュリティーを取り付ける工賃だけでも数万円~十数万円になることもあるので、資金に余裕がある方はぜひ検討してください。
ステアリングロック
車両盗難に対抗する最もシンプルな予防対策は、ステアリングロックで物理的に運転できなくする方法です。
日本ではあまり見かけることはないかもしれませんが、アメリカや欧州などの車大国ではステアリングロックをしていない車の方が珍しいくらいです。
ステアリングロックは、ステアリングに鉄棒を固定してハンドルの作動範囲を狭めることで物理的に車を運転することを困難にするグッズです。
例えリレーアタックやCANインベーダーでエンジンが始動したとしても、ハンドルが思うように動かせなければまともに運転することはできません。
そうなると犯人は車両盗難を諦めて車を置いて逃げるでしょう。
また、ステアリングロックしてあるのは外からでも確認できるので、車両盗難の抑止力にもなります。
ちなみに、ステアリングロックは1万円以下で買うことが出来るので、導入コストも抑えることが出来ます。
しかしながら、何度も言っているように相手は犯罪のプロ集団です。
ステアリングロックも簡単に破壊してしまうかもしれませんが、少なくとも時間稼ぎにはなると思います。
また、リスクを考えるとステアリングロックをしている車よりも、当然ステアリングロックをしていない車を狙う可能性が高いと思われます。
あなたの大事な愛車を盗難から守る為にも、ステアリングロックの導入を検討しましょう。