どうも、Mです。
『アウディといえば「quattro(クワトロ)」だよね!』
私がアウディの購入を検討している時に友人から言われた言葉です。
確かに「アウディ=クワトロ」というイメージがありますね。
お恥ずかしい話、私は「クワトロ」のことをグレードだと思っていました。
まぁ、グレードっといえばグレードなのかもしれませんが・・・・。
今回はそんな「クワトロって何?」という疑問を解決したいと思います。
アウディの「クワトロ」って何?
アウディの「クワトロ」はアウディ独自の四輪駆動システムの名称です。
ちなみに「クアトロ」の語源は、イタリア語で数字の「4」を意味する「quattro」となっています。
「四輪駆動」と聞くと、オフロード車のような車高が高く、泥や岩のあるような悪路を走るイメージがありますよね。
しかし、アウディが目指した四輪駆動システムは違います。
アウディのクワトロは「オンロードを速く安全に走る」ために開発された四輪駆動システムなのです。
四輪駆動を採用することで得られる圧倒的なトラクション(粘着摩擦)により、雨の日のスリッパリーな路面でもまるで晴れの日のようにスムーズに発進することが可能となりました。
また、四輪を精密にコントロールすることで安定したコーナリングを実現できるので、結果としてスピードの向上につながっています。
クワトロの歴史は1980年まで遡ります。
当時の乗用車といえば前輪、もしくは後輪を駆動させる二輪駆動が主流の時代でした。
そんな時代にアウディはいち早く四輪駆動のポテンシャルに目を付けて、悪路やオフロードを走る為の四輪駆動を「ダイナミックな走りをもたらす技術」として再定義したのです。
そしてアウディによって世に送り出されたのが「アウディ・クワトロ」でした。
このスキーのジャンプ台を駆け上がるCMは当時としては信じられない光景だったはずです。
アウディ・クワトロは1980年から1991年まで製造されたアウディのクーペで、この車の存在が「アウディ=クワトロ」のイメージを確立させた車と言っても過言ではないかもしれません。
悪路走破を目的とした四輪駆動システムは、一般的に二輪と四輪をドライバーが切り替える「パートタイム式」だったのに対して、アウディ・クワトロには常に四輪を駆動させる「フルタイム式」が採用されました。
複雑な操作を一切必要とせず、誰が運転しても安全に速く走れる四輪駆動システムは、四輪駆動車のイメージを覆す画期的なシステムであったことは言うまでもありません。
アウディ・クワトロが姿を消した後、「クワトロ」という名称は車の名前ではなく、アウディの四輪駆動システムそのものを指す名称へと受け継がれ、現在に至っているのです。
今では悪路に限らず幅広い路面状況下でハイパワーを確実に路面に伝えるフルタイム式の四輪駆動システムは、多くのメーカーが手掛けるハイパワーモデルに採用されています。
アウディは「四輪駆動=オフロード」ではなく、「四輪駆動=ダイナミック」と再定義することで40年という時間を「クアトロ」の研究と開発に費やしてきた経験と実績があるのです。
だからこそアウディの「クワトロ」は、オンロード最速の四輪駆動システムと言われているのかもしれません。
アウディ「クワトロ」の種類と特徴
それではアウディの「クワトロ」をもう少し掘り下げてみましょう。
「クワトロ」にはエンジンの搭載方法などに合わせて4種類の「クワトロ」が用意されています。
横置きエンジン用クワトロ
比較的コンパクトな車種に採用されている横置きエンジンレイアウト用の「クワトロ」です。
横置きエンジン用の「クワトロ」の特徴は、電子制御式油圧多板クラッチが採用されているところです。
基本的に前輪駆動のため、前輪には常にトルクを伝えながら必要に応じて多板クラッチをコントロールし、後輪に最適なトルクを配分することで安定した走りを生み出します。
加速時には後輪にトルクを配分したり、前輪がスリップすればその分後輪に配分するなど、常に最適なトルク配分をすべてコンピューターが行ってくれるわけです。
電子制御式油圧多板クラッチは理論上、前輪100%後輪0%~前輪0%後輪100%というトルク配分が可能ですが、タイヤの摩擦抵抗が完全に0でない限り無理でしょうね。
この横置きエンジン用「クワトロ」を採用しているアウディ車は「A3」「TT」「Q3」となっています。
縦置きエンジン用クワトロ
縦置きエンジンが採用されている車種に搭載されている「クワトロ」です。
「縦置きエンジン用のクワトロ」の特徴は、「セルフロッキングディファレンシャル」と呼ばれるセンターデフを搭載している点です。
この「セルフロッキングディファレンシャル」を採用した「クワトロ」の基本的なトルク配分は前輪40%後輪60%です。
前輪が滑りやすい路面では前輪へのトルク配分を減らし、後輪へのトルクを最大80%まで高めます。
逆に後輪だけが滑りやすい路面では後輪へのトルクを減らし、前輪へのトルクを最大60%まで高めてグリップを確保するのです。
つまり、縦置きエンジンは、前輪60%後輪40%~前輪20%後輪80%のトルク配分を状況にあわせて連続的に変更することが出来ます。
ちなみに、「横置きエンジン用クワトロ」はコンピューターがトルク配分するのに対して、「縦置きエンジン用クワトロ」は機械式なのでトルク配分がリアルタイムで反映されるという違いがあります。
例えると、頭で考えて動くタイプが「横置きエンジン用クワトロ」で、考える前に体が反応するタイプが「縦置きエンジン用クワトロ」というイメージですね。
つまり、「縦置きエンジン用クワトロ」はより野性的な四輪駆動システムということですかね。(笑)
この「クワトロ」が採用されているアウディ車は、「A4」「A5」「A6」「A7」「A8」「Q7」「Q8」となっています。
ミッドシップ用クワトロ
アウディのスポーツカー「R8」のエンジンレイアウトである「ミッドシップ用クワトロ」です。
「ミッドシップ用クワトロ」の特徴は「横置きエンジン用クワトロ」と同様に電子制御式油圧多板クラッチを採用しているところです。
「横置きエンジン用クワトロ」との大きな違いは、常に後輪にトルクを配分している点です。
走行状況に応じて、コンピューターが前輪への最適なトルク配分を行いスポーツカーに俊敏な走行性能を実現しています。
次世代のクワトロ
「次世代のクワトロ」は「縦置きエンジン用クワトロ」に「横置きエンジン用クワトロ」取り入れた新開発のクワトロシステムです。
「次世代のクワトロ」の特徴は、AWDクラッチと呼ばれる電子制御式油圧多板クラッチを採用することで完全前輪駆動を可能にした点です。
「縦置きエンジン用クワトロ」は常に後輪にトルクを配分していたのに対して、「次世代のクワトロ」では前輪にトルクを配分します。
そして、システムが四輪駆動での走行が不要と判断するとトランスミッションの後ろに配置されたAWDクラッチにより後輪へとトルクを伝達するプロペラシャフトを切り離します。
さらに、デカップリングクラッチという装置により後輪のトルクを伝達するリアデファレンシャルとドライブシャフトを切り離すことで完全に前輪駆動のみで走行することが出来ます。
これにより走行抵抗を減らし、燃費向上に貢献できるというわけです。
この「次世代クワトロ」の凄いところはこの後です!
システムは0.5秒後の走行状況を先読みしていて、四輪駆動が必要と判断すると0.2秒後には「AWDクラッチ」と「デカップリングクラッチ」の2つのクラッチを接続して「クワトロ」の名に恥じない高性能四輪駆動システムへと瞬時に変わります。
ちなみに、ディーラー担当者曰く、このシステムは前輪のトラクションだけではなく、ドライバーのステアリング操作やアクセルワークからも走行状況を判断しているのでまったく心配する必要はないとのことです。
この「次世代のクワトロ」が採用されているアウディ車は「A4オールロード」と「Q5」だけです。
たしかに「Q5」に試乗した時も全く違和感はありませんでしたね。
とにかく優秀な四輪駆動システムということですね。
まとめ
アウディが世界に誇る四輪駆動システム「クワトロ」をご紹介しました。
「アウディ=クワトロ」のイメージは「アウディ・クワトロ」という画期的な四輪駆動システムと搭載した車があったからというのもあるでしょうね。
現在「クワトロ」はアウディ独自の四輪駆動システムの名称となっていますが、その歴史と特徴を知るとアウディ乗るなら「クワトロ」に乗りたいと思ってしまいます。
「クワトロ」はエンジンレイアウトによってシステムが異なりますが、どの「クワトロ」も世界最高水準の四輪駆動システムであることは間違いありません。
アウディによって「四輪駆動=ダイナミック」と再定義された「クワトロ」をあなたもぜひ堪能してみて下さい。