新しい自動車税「走行距離課税」の金額はいくら?メリットとデメリットは?導入はいつ?

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走行距離課税のメリットとデメリット表紙

2022年10月26日に開かれた政府の税制調査会で提案された電気自動車(EV)への「走行距離課税(以下:走行税)」が波紋を呼んでいます。

「EVが普及したら走行税が導入されるだろうと思っていた」と予期していたユーザーもいる一方で、「そんな税金はむちゃくちゃだ!」と大反対する声も。

話題になっている「走行税」の導入はまだ正式に決まったわけではなく、あくまで数多ある案の一案に過ぎません。

ということで今回は、もし導入されることになったら大波乱を巻き起こすであろう「走行税」について考えてみました。

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目次

走行税って何?

導入が検討されている「走行税」は「自動車が走行した距離に応じて課税額を決める」という課税方式です。

つまり、走れば走るほど課税される方式になっています。

実は2018年から政府与党が「自動車税」を「走行税」に変更する法改正案を検討していたようです。

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走行税を導入する理由とは?_

「走行税」の導入が検討されることになった背景には、自動車税やガソリン税などの税収減があります。

自動車の所有者は、所有する車のエンジン排気量に応じた「自動車税」とガソリンを購入する際の「ガソリン税」を支払っています。

しかし、EVをはじめとするハイブリッド車やPHEVなどの低排気量&低燃費の車が増えたことで、「自動車税」と「ガソリン税」が年々減っている現状があります。

まず「自動車税」ですが、EVには「総排気量1ℓ以下」の自動車税が課せられています。

納税額は、2019年9月以前に新車登録したEVが「29500円」、2019年10月以降に新車登録したEVだと「25000円」となっています。

EVの自動車税は、ボディサイズやモーター出力、そして、航続距離に関係なく「一律1ℓ以下」の自動車税です。

次に「ガソリン税」ですが、EVの場合ガソリンは必要ないためガソリン税の徴収は期待できません。

他の車もPHEVやハイブリッド車といった低燃費車の普及によりガソリン税は減収の一途を辿っています。

実際に、2007年度には約4.2兆円だった燃料課税は、2022年度には約3.2兆円になる見通しです。

今後ガソリンを必要としないEVが普及すれば、燃料課税はさらに減ることは確実です。

そこで白羽の矢が立ったのが、走行距離に応じて課税する「走行税」だったというわけですね。

もし「走行税」が導入されれば、パワートレインや排気量など関係なく「走った分だけの税金」を徴収できるため、政府にとっては大幅な税収アップになると見込まれています。

「走行税」はいくらになるの?

2022年11月時点において「走行税」はまだ導入の検討段階であるため金額に関して一切情報はありませんでした。

とはいえ、もし「走行税」が導入されたら一体いくらの税金を払うことになるのか気になるのは当然です。

世界に先駆けて「走行税」を導入したニュージーランドでは、ディーゼルエンジンの小型バスに「走行税」が適応されています。

その金額は1000km走行する毎に5000円となっています。

つまり、1kmあたり5円の「走行税」が必要となるわけです。

もしあなたが年間5000km走行するのであれば25000円。

もしあなたが年間10000km走行するのであれば50000円!

もしあなたが年間15000km走行するのであれば、なんと75000円の「走行税」を支払うことになります。

あくまでニュージーランドの「走行税」であればの話ですが、考え方は同じだと思います。

もし「走行税」が導入されることとなれば、1kmあたりいくらに設定されるのかに注目が集まるでしょう。

とにかく、「走行税」導入の目的が自動車からの減税ではなく増税である以上、納税額は今よりも高くなる可能性はあると思います。

走行税のメリット

メリット嬉しい女性もし「自動車税」の代わりに「走行税」が導入されたら、私たちにどんなメリットがあるか考えてみました。

距離乗らない人は安くなる?

「走行税」が導入された場合、あまり距離を乗らないユーザーさんであれば「自動車税」よりも安くなる可能性があるでしょう。

例えば、都市部に住んでいて週末くらいしか車に乗らないというユーザーさんには「走行税」の方がお得になるかもしれません。

実際にどのくらい安くなるかは「走行税」が可決され課税金額が決定するまで分かりませんが、人によっては大幅に安くなる可能性もあります。

大排気量の車は有利?

「走行税」が導入された場合、大排気量の車のオーナーさんであれば「自動車税」よりも安くなる可能性があると思います。

例えば、エンジン排気量6リットルの「ベントレー・コンチネンタルGT・W12」を所有しているオーナーさんの場合、走行距離に関係なく88000円の自動車税を支払う必要があります。

しかし「走行税」が導入されれば、所有している車の排気量ではなく走行距離に課税されるため88000円よりも安くなる可能性があります。

旧車やスーパーカーを複数台所有しているオーナーさんにとっては有利に働くことでしょう。

また、仕事で使うトラックや特殊車両にも大排気量の車があるため、「走行税」の導入により減税になる可能性もあります。

道路がきれいになるかも?

「走行税」が導入された場合、道路がきれいになるかもしれません。

「自動車税」や「ガソリン税」などの自動車関連の税金は「道路特定財源」として、新しく道路を建設したり、維持するために必要な財源として徴収されていました。

自動車関連の税金の減収を受けて「走行税」が導入されるのであれば、当然ですが「財源の増収」になることを見込んでいることでしょう。

財源が増えるということは、新しい道路や維持に必要なお金が用意できるので「道路がきれいになる」というわけです。

自動車ユーザーにとって道路がきれいであることは嬉しい限りですよね。

とはいえ、これは「走行税」が自動車に関係するものに使用された場合です!

現在「自動車税」をはじめとする自動車に関係する税金は「道路特定財源」ではく、「一般財源」となっています。

「一般財源」とは使用用途が決まっていない財源のことなので、国は様々な用途に使用することが出来るお金です。

つまり、自動車の走行距離に応じて払ったはずの「走行税」は、自動車用の道路の管理維持以外に使用することが出来るわけです。

地域の教育や医療、警察や消防などの公共サービスに利用されるならまだしも、国会議員の「空出張の精算」なんかに使用されたらと思うと怒りがこみ上げてきます。

「走行税」を導入するのであれば「道路特定財源」として使用してもらいたいと切に願っています。

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走行税のデメリット

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もし「自動車税」の代わりに「走行税」が導入されたら、私たちにどんなデメリットがあるか考えてみました。

ほとんどのユーザーが増税

「走行税」が導入された場合、ほとんどのユーザーが増税となるかもしれません。

電車やバスなどの公共交通機関が発達している都市部ならまだしも、地方に住んている人にとって自動車はなくてはならないものの一つです。

毎日の通勤や買い物、そして子供の送り迎えなど、自動車を使用する頻度は圧倒的に多いはずです。

もし「走行税」が導入されることになれば、自動車に依存している地方の人の自動車税の負担は今よりも増える可能性が高いと思います。

そもそも「走行税」が導入の目的が税金の増収なのですから、今よりも得する人よりも払う人の方が圧倒的に多くなることは間違いないでしょう。

日本に住むほとんどの人は地方で生活をしています。

「走行税」の導入をめぐっては、国民の声にしっかり耳を傾けて検討してもらいたいものです。

配達料が高くなる

「走行税」が導入された場合、配送料・配達料が高くなるでしょう。

今や買い物はネットで買って家に届けてもらう時代といっても過言ではありません。

あなたの家の近くにある郵便局や物流センターを見てもらえばわかると思いますが、いつも荷物を大量に積んだトラックでごった返しています。

それだけ切っても切り離せない存在となった物流ですが、「走行税」が導入されれば確実に配送料が上がることは想像に難くないと思います。

走れば走るほど課税される方式の「走行税」は、距離を走る物流にとっては相性が悪すぎます。

燃料代だけでも莫大な金額が必要なのに、さらに「走行税」が上乗せになるわけですから溜まったものじゃないですよね。

その上がったコストは消費者、つまり、私たちの負担にもなります。

「走行税」が導入されれば、「送料無料」なんてなくなるかもしれません。

500円のマグカップを注文したら、送料だけで1500円必要になるかもしれません。

「配送・配達=贅沢」と言われる世の中になるかもしれませんよ。

観光業にも打撃が?

「走行税」が導入された場合、観光業にも打撃がいくかもしれません。

そもそも、自動車の走行距離に応じて課税されるのであれば「車で遠出しない」という家庭が増えると思います。

また、距離を走るバスやタクシーも「走行税」による負担増で運賃を上げざるを得なくなります。

ということで「走行税」の影響を受けない交通手段は電車だけとなるわけですが、自動車に乗りなれている地方の人にとって電車移動は面倒くさいものになると思います。

とにかく、「走行税」が導入されることで観光地へ足を運ぶ人が減ってしまう可能性があります。

当然のことながら、観光客が減れば観光業にも打撃がいくことになります。

駐車場を経営している人は自動車が来ないから減収になり、観光客が減ることで宿泊施設や周辺のお店が減収なるという悪循環が発生するかもしれません。

「走行税」の金額にもよりますが、あまりにも高い税金となるようであれば車で遊びに行かない世の中になるかもしれません。

申請が面倒かも?

「走行税」が導入された場合、申請が面倒になる可能性があります。

「走行税」は読んで字のごとく、走行距離に応じて課税される方式の税金です。

つまり、毎年ある時期にあなたが1年間で走った距離を告知しなければならなくなるということです。

この告知方法はどのようにするのかはこれから検討される事でしょうが、考えただけでも面倒くさいですよね。

例えば、「毎年4月1日に最寄りの税務署に行き、距離を確認してもらう」とか、「毎年4月1日に総走行距離数の写真を撮って専用フォームに添付する」という方法もあります。

いづれにしても、あなたが手間暇かけて自分の自動車税の申告をしなければならないなんで面倒くさくないですか。

もしかすると「走行税」が導入されれば国からGPSが配布されて車に取り付けるだけでいいなんてこともあるかもしれませんが、そんな金あるなら「走行距離税」なんて導入するなって言いたくなります。

もし「走行税」を導入するのであれば、所有者の負担にならない申告方法を検討してもらいたいと思います。

走行税の導入時期は?

「走行税」の導入時期はまだ未定です。

そもそも、本当に「走行税」の導入するのかも含めて、これから本格的に議論されるという段階です。

しかしながら、政府が喉から手が出るほど欲しがっている「自動車税」や「ガソリン税」などの自動車関連の税収は毎年減り続けているのは紛れもない事実です。

政府としても財源確保に向けた新法案の決定に向けて動き始めています。

もし「走行税」の導入が正式に決定した場合、遅くとも2025年から開始されると予想する自動車評論家もいらっしゃいます。

もちろん「走行税」ではなく、まったく「別の税金」になる可能性もあります。

「走行税」なんてめちゃくちゃだ!と憤りを感じる人がいる一方で、日本の自動車関連諸税が減ることによる道路環境の悪化を懸念する声も聞かれます。

財源がないため、何年も補修されていない道路やいつまでたっても建設されない新しい道路など沢山ありますからね。

わたしたちは政府が払えと言えば否が応でも払うしかありません。

だからこそ、「走行税」の導入に関しては国民のためを思って議論を積み重ねてもらいたいと思います。

ソース:yahoo! Japan

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この記事を書いた人

クルマ好きが高じて自動車業界に就職。国産ディーラーと高級輸入車ディーラーの営業マンとして15年以上従事し、合計1000台以上の新車・中古車の販売に携わりました。クルマが大好きな自動車営業マンが大好きな自動車に関するのお役立ち情報や最新モデルの情報を独自の観点から発信しています。

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