電気自動車開発は、世界中の自動車メーカーが急ピッチで取り込んでいます。
早ければ2025年から発売する新型車は全て電気自動車にすると公言しているメーカーもあります。
しかし、そんな次世代モビリティである電気自動車に暗雲が立ち込めてきています。
それは、リチウムの価格が1年で5倍に高騰しているという問題です。
リチウムは電気自動車に欠かせない部品であるリチウムイオンバッテリーを製造する為に必要材料の一つです。
リチウムの価格高騰によってメーカーは電気自動車1台あたり約14万円の生産コスト高になっています。
このコスト高はそのまま私たち消費者への負担になります。
つまり、リチウムの価格が下がらなければいつまでたっても安く電気自動車を買うことが出来ないかもしれません。
今回は、電気自動車に不可欠なリチウムの価格高騰の理由といつになったら電気自動車が安く買えるのか考えてみました。
電気自動車(EV)の購入前に知っておくべき5つの注意点とは?
リチウムの価格が5倍になった理由とは?
リチウムの価格が5倍になった理由は、急激な電気自動車の需要増加に供給が追いついていないからに他ありません。
決してリチウムが枯渇して取れなくなっているということではありません。
リチウムは地球の地中に大量にありますが、需要が採掘量を上回ってしまっているのが原因です。
当然の如く、需要が供給を上回れば価格は高騰します。
この問題を解決するには、リチウムをはじめ、ニッケル、グラファイト、コバルトなどのバッテリーに必要な鉱物や化合物を大量に安定して提供できる施設が必要不可欠です。
しかしながら、その為には莫大な投資と時間が必要になるため、短期間での解決は難しいと言えます。
さらに、リチウムやニッケルなどの鉱物を生産していたウクライナが攻撃を受けたことで事態はさらに深刻化しています。
つまり、リチウムの価格高騰は、急激な電気自動車の需要増加と主要生産国の経済活動停止による要因が重なってしまったことで起こってしまいました。
リチウムの大量生産と主要生産国の正常化、どちらを選んでも10年単位の時間が必要と考えられています。
電気自動車の価格が高騰する可能性あり!バッテリーに必要な材料が高騰している件!
電気自動車が安くなるのはいつ頃?
画像引用元:テスラジャパン
私たちが比較的安価で電気自動車を買えるようになるのは、早くとも2035年以降になるかもしれません。
一部の経済アナリストによる分析によると、大量のバッテリーを安定して製造できるギガファクトリーの建設によってバッテリーの単価を下げる事が出来るようになるとのこと。
ギガファクトリーとは、アメリカの電気自動車最大手であるテスラが建設中の電気自動車のバッテリー専門工場のことです。
テスラは年間で50万台の生産体制を構築しようとしていますが、それには全世界で製造されているリチウムイオン電池がテスラだけで必要になってしまうという現実があります。
そのため、テスラは自社で賄えるだけの生産能力を持つ超巨大バッテリー工場の建設に着手しています。
現在テスラのギガファクトリーの生産可能な床面積の合計は49.2万平方メートル(東京ドーム約10個分の広さ)に及んでいますが、まだ全体の30%しか完成していないようです。
あと10年以内にギガファクトリーが完成するのであれば、電気自動車のバッテリー生産量を大幅に増加する事が可能になります。
また、テスラのギガファクトリーの完成が他の自動車メーカーを巻き込むことは間違いないでしょう。
2030年ごろまでには、新しいバッテリーによるリチウム量削減と古いバッテリーから取り出したリチウムを再利用することで、リチウムの年間需要の16%を満たせるとみられています。
残念ながら、今すぐ電気自動車の価格を下げることは叶いませんが、2035年までには比較的手に入りやすい価格で、納得のいく性能の電気自動車が手に入る時代が来ることでしょう。