ドイツ最大の自動車メーカーであるフォルクスワーゲンが生産拠点をドイツから移動する検討を開始したと報じられました。
アメリカの自動車情報メディア「carscoops」によると、フォルクスワーゲンがドイツから生産拠点を移動させる可能性は高いとみられています。
ドイツを代表するフォルクスワーゲンの生産拠点がドイツから撤退する理由とは?
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理由は天然ガスの不足
フォルクスワーゲンが生産拠点をドイツ本国から移動させる検討に入った最大の理由は、天然ガスの不足です。
天然ガスは自動車の生産に不可欠なものなのですが、現在ドイツでは天然ガスの供給が不安定な状況が続いています。
なぜなら、ドイツは主にロシアから天然ガスの供給を受けているからです。
2022年2月、突然ロシアがウクライナへの軍事侵攻を行ったことは世界を驚かせました。
この軍事侵攻により、EU諸国をはじめ、アメリカや日本もロシアの軍事侵攻を非難し、経済制裁や有名企業のロシア撤退などを表明しました。
ロシアは非協力的な国に対して、天然ガスをはじめ、ロシアで採れる鉱物や木材、そして、飼料や水産物に至るまで供給の停止や制限をしています。
ドイツの主要な天然ガスの供給源であるロシアの輸出制限は、フォルクスワーゲンのみならず、ドイツの様々な製造工場に多大なる影響を与えていることは間違いありません。
2022年9月3日、ロシアはドイツへのガス供給パイプラインの稼働再開を延長し、事実上の再開の目途は未定となりました。
天然ガスはドイツ政府によって充填してあるとみられており、停止が長引いたとしても今後6カ月間ほどは自動車生産を維持できる見通しです。
しかしながら、このままロシアからのガス供給が再開されなければ、大幅な減産は免れないでしょう。
ちなみに、フォルクスワーゲンはドイツ政府に充填してある天然ガスの使用量を少なくとも20%削減すると約束しているようです。
フォルクスワーゲンの生産台数減少は避けようがないと思われます。
フォルクスワーゲンは、このまま天然ガスの供給が2023年までに再開されないようであれば、ドイツ本国にある生産拠点を別の国へ移管する検討を行っています。
この抜本的な計画ですが、新たにどこかに建設するわけではなく、既存のベルギー、ポルトガル、スペイン、そして、他の国のフォルクスワーゲンの生産工場に生産ラインを振り分ける案が浮上しているようです。
フォルクスワーゲンの本拠地はドイツのまま
2023年までドイツに天然ガスの供給が開始されなければ、フォルクスワーゲンの生産拠点移動は現実味を帯びてきます。
しかしながら、ドイツから移動するのは生産拠点であり、本拠地はドイツのままとなるようです。
とはいえ、フォルクスワーゲンの本社工場のあるヴォルフスブルクはフォルクスワーゲンのために建設された自動車産業の計画都市です。
よって、たくさんの人々がフォルクスワーゲンの本社工場で働いています。
もしもフォルクスワーゲンの本社工場が移転し閉鎖されれば、本社工場で働く約5万人の人生を変える一大事となります。
あくまで、フォルクスワーゲンの生産拠点移動は最終手段ということのようですが、そうならないように祈るばかりです。