アウディのラインアップ中最もコンパクトなモデルは「A1スポーツバック」です。
その「A1スポーツバック」のグレードにおいてトップグレードである「Sライン」に試乗しました。
アウディには「Sライン」というスポーティなエクステリアとインテリア、そして乗り心地を与えられたグレードがあります。
今回は2代目アウディA1スポーツバックの1.0ℓエンジンモデル「25TFSI」の「Sライン」に試乗することが出来ました。
実は友人がアウディA1スポーツバック「Sライン」に乗り換えていたので会ったついでに乗せてもらいました。
よって、友人のアウディA1スポーツバック「Sライン」を心置きなくインプレしてみたいと思います。
それでは、アウディA1スポーツバック「Sライン」の一般道と高速道路のインプレッションと試乗で気が付いた7つの残念な点について紹介します。
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アウディA1スポーツバック「Sライン」試乗インプレ
アウディA1スポーツバック「Sライン」です。
なにやらアウディエンブレムをブラックにしているので、一見すると何の車なのか分かりませんね。
コンパクトですが、ヘッドライトやフロントバンパーがとてもスポーティでカッコいい印象です。
早速コックピットへ乗ってみましょう。
インテリアは最近のアウディといった感じです。
コックピットに座るとお馴染みの10インチのディスプレイにバーチャルコックピットが迎えてくれます。
エンジンを始動すると、ブルンと車体を震わせて1.0ℓエンジンが目を覚まします。
それでは一般道へと出ていきます。
アウディA1スポーツバック「Sライン」試乗インプレ(一般道)
第一印象は、「1.0ℓエンジンって言われなければ気付かない!」と思いました。
感覚的な加速力は1800ccのエンジンのようなトルクフルでスムーズな加速をします。
アクセルレスポンスはとても素直で乗りやすい印象です。
ハンドル操作も軽いのでUターンするときなどは便利だろうなと思いました。
乗り心地は「Sライン」専用のサスペンションのおかげでしっかりと路面状況を伝えてくれる少し硬めの味付けです。
一方でフロントサスペンションは予想以上にしなやかです。
ブレーキで減速すると車体がダイブダウン(減速により車前方が沈み込む)します。
そして停車が完了するとクイッ車体が水平になるのが分かります。
決して柔らかい足回りではないはずなのに、予想に反してしなやかなサスペンションです。
一般道では力不足を感じるようなことはなく、快適に運転することが出来ます。
アウディA1スポーツバック「Sライン」試乗インプレ(高速道路)
アウディA1スポーツバック「Sライン」の高速道路試乗を開始します。
高速道路本線へ合流するため加速帯で加速してきます。
思いっきりアクセルを踏み込んで・・・・・・・・・はい、こんな感じですね。
結論から言うと、1.0ℓエンジンのアウディA1スポーツバック「Sライン」でアクセルをベタ踏みは意味ないです。
ただ1.0ℓエンジンが回っているだけといった印象です。
アウディA1スポーツバック「Sライン」の1.0ℓエンジンはロープレッシャーターボですから高回転時は不得意なんですよね。
ということで、高速道路走行中にどのようなアクセルワークが最も1.0ℓエンジンの魅力が引き出せるのか色々と試してみました。
結果、エンジンの回転数が2000~3000回転が一番力強く、そして気持ちよく加速出来ました。
アウディA1スポーツバック「Sライン」に搭載されている1.0ℓエンジンのスペックは、最高出力95馬力と最大トルク175Nmと決して高性能とは言えません。
しかし、日本の高速道路においてアウディA1スポーツバック「Sライン」の1.0ℓエンジンでも十分快適に運転できることが分かりました。
本当によくできたエンジンだと思います。
乗り心地では、高速道路でも「Sライン」専用のサスペンションがしっかりといい仕事をしています。
接地感もしっかりあるし、タイヤが路面を捉えている安心感があります。
ちょっと硬めだけどしなやかな「Sライン」専用サスペンションの乗り心地はかなり良いです。
アウディA1スポーツバック「Sライン」7つの残念な点とは?
アウディA1スポーツバック「Sライン」の試乗を通じて気づいた残念な点を7つ紹介します。
残念な点①アイドリングストップ介入時の振動が大きい!
残念な点①は、アウディA1スポーツバック「Sライン」のアイドリングストップ機能介入時の振動がやたらと大きい点です。
A1スポーツバック「Sライン」では、信号停車や右折待ちなどで停車をするとアイドリングストップ機能が働きます。
エンジンOFF時に「ブルン」、エンジンON時に「ブルルン」と大きな振動が発生します。
特に右折待ちなどでは、アイドリングストップ機能の立ち上がりがワンテンポ遅れることもあったのでちょっとヒヤッとすることがありました。
もちろんアイドリングストップ機能は地球と財布には優しい機能だと思いますが、私は迷わずアイドリングストップ機能はOFFにさせていただきました!
あなたもアウディA1スポーツバック「Sライン」を試乗した際には、アイドリングストップ機能を試してみたください。
残念な点②3気筒エンジン独特の振動がある!
残念な点②は、A1スポーツバック「Sライン」が停車(アイドリング)中に、3気筒エンジン独特の振動が気になりました。
正直そんなに大きい振動ではないのですが、気になり始めたら気になるレベルの振動です。
停車中に何気なくサンバイザーにある鏡を見てみたのですが、アイドリングの振動によりサンバイザーが小刻みに揺れてちゃんと鏡が目れませんでした。
サンバイザーを手で押さえると振動がなくなるのでちゃんと鏡を見ることが出来ましたが、他がしっかりしている車なだけあったちょっと残念な気がしました。
同じ3気筒エンジンを搭載しているアウディ新型A3にはそんな振動がなかったので改善のしようはあると思います。
エンジンの独特の振動はマイナーチェンジでの改善を期待します。
残念な点③グリルの未塗装ラジエターがやたら目立つ!
残念な点③は、アウディA1スポーツバック「Sライン」のメッシュグリルの中にあるラジエターがやたら目立つ点です。
グリルの中にラジエターがあるのは当然なのですが、問題はラジエターが未塗装のためアルミ色(シルバー)をしていることです。
グリルの中にシルバーのラジエターが丸見えになっているため、まるでエアコンの室外機がグリルの中にあるように見えます。
試乗中にすれ違うたくさんの車を見ましたが、グリルの中のラジエターが丸見えだった車はありませんでした。
メッシュも結構大きめなので中が透けて見えるのもあるでしょうけど、せめて黒に塗装してくれても良かったと思います。
アウディA1スポーツバック「Sライン」のエクステリアがカッコいい分、もったいない気がします。
アウディはエクステリアのデザインに拘るメーカーだった(多分今でもそうだと思う)のに・・・・と思うと残念な気持ちになりました。
ラジエターもマイナーチェンジでは黒に塗装されて目立たなくなることを期待します。
残念な点④リアブレーキがドラム式!
残念な点④は、リアブレーキがドラム式だったことです。
もちろん、ドラム式ブレーキが悪いと言っているわけではありません。
ドラム式ブレーキの方がブレーキ力はあるし、重量も軽いという利点があるのは知っています。
しかしながら、300万円以上する車にドラム式ブレーキという発想が今までなかったので、見たときちょっとショッキングだったのは事実です。
ましてやA1スポーツバック「Sライン」は専用のエクステリアと専用のスポーツサスペンションでスポーティさが売りのグレードです。
だからこそ、リアブレーキがドラム式というのが残念でなりませんでした。
良い点としては、ドラム式ブレーキの場合だと、輸入車の悩みでもある「ブレーキダスト」のせいでアルミホイールが真っ黒になるなんてこともないんですけどね。
まぁ、リアブレーキなんてほとんど使われていませんが・・・・・。
もしどうしても「ドラム式ブレーキが嫌だ!」ということであれば、1.5ℓエンジンを搭載する「35TFSI」を選択するとリアディスクブレーキが装備されます。
そういえば、アウディが2022年1月に発表した第3弾電気自動車「Q4 e-tron」のリアブレーキもドラム式ブレーキが採用されていましたね。
まさかのリアブレーキドラム式フィーバーが起こるかも・・・・・?いや、それは無いっすね。
残念な点⑤インテリアの材質がプラスチッキー!
残念な点⑤は、インテリアの材質がプラスチッキーで安っぽい印象を受けました。
さすがにダッシュボード上部はソフトパッド材質になっていましたが、「ダッシュボードパネル」「センターコンソール」「ドアインサイドパネル」にはカッチカチのプラスチックが多用されていました。
カッチカチのプラスチック自体が残念というわけではなく、多く使いすぎているので高級感が無くなっている印象を受けました。
お金の話ばかりで恐縮ですが、アウディA1スポーツバック「Sライン」ともなると、オプション無しで365万円の車両価格です。
ナビやバックカメラを付けると400万円以上の価格帯になります。
アウディA1スポーツバックの日本でのキャッチフレーズは「小さな高級車」なので、もうちょっと高級感を演出する素材を使用してもらいたかったです。
マイナーチェンジで改善する可能性は低いと思いますが、インテリアの材質向上にちょっとだけ期待しておきましょう。
残念な点⑥アウディ唯一のハンドブレーキ!
残念な点⑥は、アウディで唯一のハンドブレーキを採用している点です。
アウディA1スポーツバック以外の車種はすべてエレクトリカルパーキングブレーキ(電動式ブレーキ)に置き換わっていますが、アウディA1スポーツバックだけクラシカルなハンドブレーキを採用しています。
このハンドブレーキを見てアウディA1スポーツバックを購入の選択肢から除外した人もいるかもしれません。
オートマチックトランスミッションなのでハンドブレーキを掛けなくとも車は動き出しはしませんが、このハンドブレーキによる弊害は別のところに関係しています。
アウディA1スポーツバックには衝突軽減ブレーキが装備されていますが、緊急ブレーキ後、車は動き出します。
現在販売されている新型車の多くはエレクトリカルブレーキ(電動式ブレーキ)を採用しているため、緊急ブレーキ後は電動式ブレーキにより強制的にブレーキが作動している状態になります。
つまり、アクセルを踏むか電動式ブレーキを解除しない限り車は勝手に動きません。
しかし、アウディA1スポーツバックに採用されているのは手動ブレーキなので、緊急ブレーキまでは車がかけてくれますが、その後はブレーキが解除され動き出してしまうわけです。
アウディもなかなかストイックな車を販売していますね。
もちろん、普通に運転する分には何か不便だったり困ったりすることは無いと思いますが、先進性を謳っているアウディらしからぬ装備と思いました。
マイナーチェンジで電動式ブレーキ採用するかな?期待しない方が良さそうですね。
残念な点⑦電動シートの設定がない!
残念な点⑦は、アウディA1スポーツバックには電動シートの設定が無い点です。
「Sライン」の残念な点というわけではないですが、A1スポーツバックにはどんなグレードを選ぼうが電動シートの設定がありません。
特に「Sライン」は車両価格が400万円を超える車なので電動シートが付いていると思っている人も多いでしょう。
ちなみに、私もその一人でした。
背もたれの角度を調整するダイヤルは回すのが結構硬いので、握力増加の筋トレになると思いますよ。
電動シートが標準装備ではなくても良いと思いますが、せめて電動シートのオプションくらい設定しても罰は当たらないと思います。
アウディが謳っている「小さな高級車」とはどこに行ったのか?と思うところもありますが、軽量化のためと割り切って使うしかないでしょう。
まぁ、シートなんて一度調整してしまえば動かすことないし、前後のスライドだけなら電動より早く動かすことができますからね。
とにかく、アウディA1スポーツバックに電動シートを望んでいる声はあると思うので、メーカーにはぜひ導入を検討してもらいたいです。
アウディA1スポーツバック「Sライン」の評価
アウディA1スポーツバック「Sライン」の評価です。
A1スポーツバック「Sライン」は、とても1.0ℓエンジンとは思えない力強さとキビキビとした走りが印象的な車でした。
サイズもコンパクトなので、駐車場の取り回しも簡単だと思います。
とにかく乗っていてサイズによる怖さは皆無でした。
搭載されているエンジンもとても素直でアクセルに忠実に反応します。
「Sライン」専用サスペンションは、思ったより硬くなく、しなやかな印象を受けました。
フロントサスペンションのストローク量はしっかり確保されている感じですが、リアサスペンションは硬めのセッティングになっているようです。
デコボコ道や道路のつなぎ目などを超えるときに、フロントサスペンションでは感じることが出来なかった振動をリアサスペンションが伝えてきます。
もちろん決して不快な乗り心地ではなく、アウディA1スポーツバック「Sライン」のコンパクトカーならではの味付けになっていると思います。
高速道路走行でも1.0ℓエンジンがいい仕事をしてました。
特性を理解して加速すればストレスなく走行することが可能です。
ちなみに、高速道路走行時のロードノイズは結構うるさかったです。
これはタイヤを交換することである程度解消できたりすることなので、残念な点には挙げませんでした。
今回の試乗では一般道と高速道路を走行して17.9km/ℓの燃費でした!←優秀!!
高速道路ではベタ踏みしたり、加速の美味しいところを探していたので普通に運転すればもう少し伸びていたと思います。
アウディA1スポーツバック「Sライン」の試乗をまとめます。
・1.0ℓエンジンとは思えない走り
・「Sライン」らしいスポーティなエクステリア
・キビキビとした走りを実現する、しなやかなサスペンション
・最新のアウディデザイン言語によるインテリア
・意のままに操れるハンドリング
残念な点は7つ紹介しましたが、あなたにとって残念な点かどうかは、ぜひ実車で確認することをお勧めします。
アウディA1スポーツバック「Sライン」は「小さな高級車」ではなく、「小さなカッコいい車」でした!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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